HackintoshやBootCampのライセンスや法律の違反の有無について
どうもです。毎度のことながら挨拶は欠かせない、あおいちゃんことAoi_Tomoeです。
今回はmacOSをApple以外のPCで動作させるHackintoshや、反対にWindowsをAppleのPCで動作させるBoot Campのライセンスや法律について触れていきます。
本記事をご覧になる前のお願い
本記事では一部MacbookやiMacなどのApple製PCではなくWindowsなどがインストールされている普通のPCにmacOSをインストールする“Hackintosh”と呼ばれる技術について触れています。これらは後述するように法律やライセンスに違反する可能性が少しでもあり、安定性や安全性、メーカーのサポートやライセンスでの問題が発生することが予想されることを理解の上でご一読ください。
本題
※引用部分にて文章は原文をそのまま抜粋しておりますが、重要箇所を赤文字で強調しています。
また、筆者は一般人ですので本記事で述べる法律的観点は必ずしも正しいと保証するものではありません。
Hackintoshについて
Hackintoshとは、macOSがプリインストールされているMacbookやiMacなどのApple製デバイスではなく、WindowsやLinuxなどがインストールされているApple以外のメーカー製PCにmacOSをインストールし、Macintosh化してしまう非公式の技術のことをいいます。もともとはAppleがIntel製のCPUを使うようになったことで『これ他のPCでもいけるんじゃね』という発想から生まれた夢の中の技術です。現在ではHackintoshという方が定着していますが「OSx86」とも呼ばれています。
元来、AppleはmacOSのソフトウェアライセンス契約にてApple以外のPC(仮想環境も含む)にmacOSをインストールして使用・稼働することを認めていません。
J. その他の使用制限 本契約に規定する許諾は、お客様にAppleブランド以外のコンピュータにおいてAppleソフトウェアをインストールし、使用し、稼働させることまたはその他の者にそのような行為をさせることを認めておらず、お客様はそのような行為をしないことに同意されたものとします。
お客様は、Appleソフトウェアに添付、または含まれ得る一切の所有権表示(商標権および著作権情報を含みます)を削除したり、不明瞭にしたり、または改変したりしないことに同意します。
macOS Montereyソフトウェアライセンス契約(https://www.apple.com/legal/sla/docs/macOSMonterey.pdf)より
また、Apple以外のPCにインストールすることを目的としてmacOSのバックアップコピーを作成すること、それらを複製、修正、再頒布することも同様に認めていません。
K. バックアップコピー お客様は、バックアップの目的に限り、機械による読み取り可能な形態でAppleソフトウェア(Boot ROMコードおよびAppleブランドのハードウェアに組み込まれるか、または含まれる他のAppleファームウェアを含みません)のコピーを1部作成することができます。
ただし、バックアップ用コピーには、Appleソフトウェアの原本に含まれるすべての著作権情報またはその他の所有権表示が含まれていなければなりません。
Apple Boot ROMコードおよびファームウェアは、Appleブランドのハードウェアで使用する場合に限り提供され、お客様は、Apple Boot ROMコードまたはファームウェアの全部または一部に対し、複製、修正または再頒布することはできません。
macOS Montereyソフトウェアライセンス契約(https://www.apple.com/legal/sla/docs/macOSMonterey.pdf)より
法律的にはソフトウェアのくくりに含まれるOS(オペレーティングシステム)にも著作権は適用されるため、第三者の手によって改変されたものをダウンロードしたりインストール・使用したりすることで著作権侵害に当たる可能性があります。
また、一般的なOSは『デバイスを購入したユーザーにライセンスを与えて使用できるようにする』といった形であり、macOSも同様です。macOSの所有権自体がAppleからユーザーに移行するわけではなく、AppleがOSの使用許可をユーザーに出すようなイメージです。
1. 総則
A. Appleブランドのハードウェアにプリインストールされているか、内蔵記憶装置、リムーバブルメディア、ディスク、読み出し専用メモリ、その他の記録媒体に、またはその他あらゆる形式で本契約が添付されているAppleソフトウェア(ブートROMコードを含む)、すべての第三者のソフトウェア、文書、インターフェイス、コンテンツ、フォントおよび一切のデータ(総称して「Appleソフトウェア」といいます)は、Apple Inc.(以下「Apple」といいます)が、お客様に対して、本契約条件に従う場合に限りライセンスを付与するものであり、販売するものではありません。また、Appleおよび/またはAppleのライセンサーは、Appleソフトウェア自体の所有権を保有し、お客様に明示的に付与されていない権利のすべてを留保します。
お客様は、お客様のAppleブランドのハードウェアにプリインストールされているすべてのAppleブランドのアプリケーションソフトウェア製品に、本契約の各条項が適用されることに同意されたものとします。
ただし、当該ソフトウェアが別個のライセンスを伴う場合、お客様は、当該ソフトウェアの使用には、その別個のライセンスが適用されることに同意されたものとします。
macOS Montereyソフトウェアライセンス契約(https://www.apple.com/legal/sla/docs/macOSMonterey.pdf)より
ちなみに、Hackintoshにはバニラ(Vanilla)と呼ばれる何の改変もされていないOSイメージを使用する方法とHackintosh用に改変されたOSイメージを使用する方法があります。
Vanillaは改変されているものよりも実際のmacOSの動作に近いと言われていますがインストールまでにはかなりの手間を要することが殆どです。
改変されているものはインストールまでの手間が少ない反面、ソフトやシステムが正常に動作しない場合もあります。
こんなことなら型落ちのMac買ったりジャンクで買って修理したりしたほうが早いと思う人も一定数いそうですね。
Boot Campについて
一方、ほぼ内容が正反対になっただけのようなBoot Campはというと、Windowsのライセンス契約的にはなんの問題もないのです。
Boot Campとは、Intel製CPUを搭載したMac(Intel Mac)でmacOSとは別にWindowsを共存させることができるApple純正のソフトです。対応しているのはWindowsXP~Windows10までで、TPMの関係でWindows11は対応していません。
Hackintoshは『AppleがmacOSをMac以外にインストールするのを認可していない』のでアウトだったわけですが、MicrosoftはWindowsを自社製品(Surfaceなど)以外にインストールすることを全く制限していません。
ライセンス条項の制限にもそういった内容は記載されていません。
2. インストールおよび使用権。
c.制限。
製造業者またはインストール業者、およびマイクロソフトは、本ライセンス条項において明示的に許諾されていない権利 (知的財産に関する法律に基づく権利など) をすべて留保します。
たとえば、このライセンスは、次の行為に関してお客様にいかなる権利も与えるものではなく、お客様は次の行為を行うことはできません。
(i) 本ソフトウェアの機能を分離して使用または仮想化すること。
(ii) 本ソフトウェアを公開、複製 (許可されているバックアップ用の複製を除きます)、レンタル、リース、または貸与すること。
(iii) 本ソフトウェアを譲渡すること (本ライセンス条項で許諾されている場合を除きます)。
(iv) 本ソフトウェアの技術的な制限を回避すること。
(v) 本ソフトウェアをサーバーソフトウェアとして使用することもしくは商業的ホスティング用に使用すること、本ソフトウェアをネットワークを介して複数のユーザーが同時に使用できるようにすること、本ソフトウェアをサーバーにインストールしてユーザーがリモートアクセスできるようにすること、または本ソフトウェアをリモートユーザーのみが使用する目的でデバイスにインストールすること。
(vi) 本ソフトウェアをリバースエンジニアリング、逆コンパイル、もしくは逆アセンブルすること、またはこれらの行為を試みること。
ただし、上記の行為が (a) 適用される法令により認められている場合、(b) 本ソフトウェアにオープンソースコンポーネントが含まれる場合において当該コンポーネントの使用に適用されるライセンス条項により認められている場合、または (c) 本ソフトウェアに含まれ、本ソフトウェアにおいてリンクされている、GNU Lesser General Public License に基づいてライセンスされているライブラリへの変更をデバッグするために必要である場合には、当該範囲に限って上記の行為が認められます。
マイクロソフトソフトウェアライセンス条項 WINDOWS オペレーティングシステム(https://www.microsoft.com/en-us/Useterms/Retail/Windows/10/UseTerms_Retail_Windows_10_japanese.htm)より
流石に、Appleと同様にライセンス云々は記載されていますが、Boot Campを使用する際にライセンスキーを購入すれば問題がないわけです。
a. ライセンス。
本ソフトウェアは使用許諾されるものであり、販売されるものではありません。
本ライセンス条項に基づいて、マイクロソフトは、一度に 1 人のユーザーが使用することを目的として、お客様のデバイス (ライセンスを取得したデバイス) に本ソフトウェアの 1 つのインスタンスをインストールして実行する権利を許諾します。
ただし、お客様が本ライセンス条項のすべての条項を遵守することを条件とします。
マイクロソフトまたは正規の提供元から取得した本ソフトウェアを使用して非正規のソフトウェアを更新またはアップグレードしても、元のバージョンまたは更新もしくはアップグレード後のバージョンは正規のソフトウェアにはならず、この場合、お客様は本ソフトウェアを使用するライセンスを取得していないことになります。
マイクロソフトソフトウェアライセンス条項 WINDOWS オペレーティングシステム(https://www.microsoft.com/en-us/Useterms/Retail/Windows/10/UseTerms_Retail_Windows_10_japanese.htm)より
とは言ったものの、メルカリやヤフオク、ラクマなどで売っている1000円~2000円程度のライセンスキー(プロダクトキー)はそれ自体がライセンス違反品である可能性がかなり高いですし、購入して入力してもライセンスが認証されない実例もありますのでMicrosoft公式サイトや正規販売店から買うのをおすすめします。
ちなみに、Boot Campは 現行のiMacなどで採用されているApple M1のCPU(Appleが開発したMacやiPad向けのCPU)では動作しません。
ついでに言えば、Windows11をサポートしていないとは言いましたが、他のWindows11非対応PCと同様にWindows10をインストール後に要件を回避してインストールすることなどは可能です。もしかしたらライセンス条項の2-c-ⅳの『技術的な制限を回避すること』に引っかかるかもしれませんけど。
もう一つ、M1のCPUでもエミュレーターは動作するのでWindowsを使えないわけではありません。
結論
たとえほぼ同じであってもHackintoshはアウトだがBoot Campはセーフ
最後に、Hackintoshはすべて夢の中での出来事です。
参考: macOS Catalina (10.15.1)でHackintoshな夢をみた話 – 島袋祐次の個人ホームページ (yshimabu.com) 、OSx86について: 田中俊光のblog (cocolog-nifty.com) 、Hackintoshの夢の質問です。Hackintoshは利用... - Yahoo!知恵袋 、Legal - ソフトウェアライセンス契約 - Apple 、WindowsなどのOSの著作権が有効なのは何年ぐらいなんでしょうか? - Quora 、MacでBootCampでWindowsを使うことは違反なのですか?... - Yahoo!知恵袋 、https://www.microsoft.com/en-us/Useterms/Retail/Windows/10/UseTerms_Retail_Windows_10_japanese.htm 、BootCampはWindows 11をサポートしない (mac-windows-pc.com) 、Boot Camp - Wikipedia 、OSx86 - Wikipedia 、Boot Camp MacでWindows 11を利用する | usajpn.com アメリカ生活 教育情報